散々
「散々な気分だ」などのように使う「散々」という言葉。
「散々」は、音読みで「さんざん」と読みます。
「散々」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「散々」の意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介しながら、わかりやすく解説していきます。
散々の意味
「散々」には次の三つの意味があります。
1 物事の程度が著しいさま。
2 物事の結果や状態がひどく悪くて、目も当てられないさま。みじめ。
3 ちりぢりばらばらになるさま。砕け散るさま。 (出典:デジタル大辞泉)
それぞれの意味、使い方、類語については下記の通りです。
散々の意味①「物事の程度が著しいさま。」
「散々」の一つ目の意味は「物事の程度が著しいさま。」です。
この意味は「散々苦労した」「散々謝罪をした」など、たくさん充分にという表現で使われます。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・いや、このことについちゃ、昔から散々俺がお前に意見した通りなのさ。
(出典:ヘッセ/芳賀檀訳『漂泊の人(クヌルプ)』)
・二人が散々にかき回した水の動きに、二人の身体が小さく揺られていた。
(出典:秋山瑞人『イリヤの空、UFOの夏 その1』)
・朝だけは寝起きがいいのは、昼間学校で散々寝ているからなのだろう。
(出典:榊一郎『神曲奏界ポリフォニカ 第2話』)
類語
・沢山(たくさん)
意味:数や程度のはなはだしいさま。(出典:デジタル大辞泉)
・ふんだんに
意味:あり余るほど十分にあるさま。(出典:デジタル大辞泉)
・うんと
意味:程度がはなはだしいさま。(出典:大辞林 第三版)
散々の意味②「物事の結果や状態がひどく悪くて、目も当てられないさま。 」
「散々」の二つ目の意味は「物事の結果や状態がひどく悪くて、目も当てられないさま。みじめ。 」です。
悪い状態や、ひどい目にあった時に使われるのがこの意味です。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・戦ってみると、アメリカ軍自体が北朝鮮軍のために散々な有様となった。
(出典:松本清張『日本の黒い霧(下)』)
・下痢は一週間も続くし、頭が何日もボウッとするわで散々な目に遭った。
(出典:高橋克彦『南朝迷路』)
・一年ほど前、その会合に出席したときに、テッサは散々な思いをしたのだ。
(出典:賀東招二『フルメタル・パニック!短編集05 どうにもならない五里霧中?』)
類語
・不良(ふりょう)
意味:質・状態などがよくないこと。(出典:デジタル大辞泉)
・こっ酷い(こっぴどい)
意味:非常にひどい。(出典:デジタル大辞泉)
・悪い(わるい)
意味:人の行動・性質や事物の状態などが水準より劣っているさま。(出典:デジタル大辞泉)
散々の意味③「ちりぢりばらばらになるさま。砕け散るさま。」
「散々」の三つ目の意味は「ちりぢりばらばらになるさま。砕け散るさま。」です。
この意味では、人や物があちこちに散っている様子のことを言います。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・甲板室は、まるで内部で爆裂弾がはじけたように、散々になっていた。
(出典:コンラッド/田中西二郎訳『青春・台風』)
・七時になるとプラスビイユの連中はアンリ・マルタン街の方へ散々になった。
(出典:ルブラン・モーリス『水晶の栓』)
・凶器は、現場からあまり遠くない路傍に散々に砕かれて発見された。
(出典:松本清張『絢爛たる流離』)
類語
・散布(さんぷ)
意味:ちらばって存在すること。(出典:デジタル大辞泉)
・乱離(らり)
意味:乱れ散らばる・こと(出典:大辞林 第三版)
・離散(りさん)
意味:まとまっていたものがちりぢりになること。 (出典:大辞林 第三版)