かれこれ
「かれこれ何年…」などのように使う「かれこれ」という言葉。
「かれこれ」は、漢字で「彼此」と書きます。
「かれこれ」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「かれこれ」の意味や使い方について、小説などの用例を紹介しながら、わかりやすく解説していきます。
かれこれの意味
「かれこれ」には次の三つの意味があります。
1 一つに限らず、いくつものことに及んだりかかわったりするさま。
2(時・年月・数量などを示す語を伴って)だいたいそれに近いさま。おおよそ。そろそろ。
3 いろいろ合わせて。全部で。(出典:デジタル大辞泉)
それぞれの意味や使い方については下記の通りです。
かれこれの意味①「一つに限らず、いくつものことに及んだりかかわったりするさま。」
「かれこれ」の一つ目の意味は「一つに限らず、いくつものことに及んだりかかわったりするさま。」です。
目の前の様々な物や事にほぼ同時に対応するときの表現です。
小説などでの具体的な使い方は下記の通り。
使い方・例文
・私がどうしようと、そんな奴からかれこれいわれる道理はありませんよ。
(出典:A・C・ドイル『新潮文庫 シャーロックホームズ全集 株式仲買店員』)
・こんな形で、節子の家出は多くの人にかれこれ言われているのだと思う。
(出典:三浦綾子『続泥流地帯』)
・だがまあ、友達同士の間だから、かれこれ言うがものはありませんわい。
(出典:平井肇『死せる魂』)
かれこれの意味②「(時・年月・数量などを示す語を伴って)だいたいそれに近いさま。おおよそ。そろそろ。」
「かれこれ」の二つ目の意味は「(時・年月・数量などを示す語を伴って)だいたいそれに近いさま。おおよそ。そろそろ。」です。
何かの数量を大雑把に表す時に使用する、どちらかといえば古い表現です。
小説などでの具体的な使い方は下記の通り。
使い方・例文
・かれこれ半年になるのに俺とあんたが少しも親しくならないことによ。
(出典:藤堂志津子『熟れてゆく夏』)
・もうここに着いてからかれこれ二十四時間以上にもなるが夜が来ない。
(出典:江見水蔭『月世界跋渉記』)
・河野の義さんが生まれた年だから、もうかれこれ十四五年の昔になる。
(出典:)
かれこれの意味③「いろいろ合わせて。全部で。」
「かれこれ」の三つ目の意味は「いろいろ合わせて。全部で。」です。
自身が対応している物事の総量をおおまかに表現するときに使用する言葉です。
小説などでの具体的な使い方は下記の通り。
使い方・例文
・かれこれ、町の地理を見ておくことは、必要なことと思われるのであった。
(出典:海音寺潮五郎『天と地と(四)』)
・もっとも、平々凡々な容貌をかれこれ描写してみるにもあたりますまい。
(出典:チェーホフ/中村白葉訳『チェーホフ短編集「無名氏の話」』)
・それから見ると、これまでのかれこれは、恋ではなかったとしか思えません。
(出典:海音寺潮五郎『平将門 上巻』)