温かい
「温かいコーヒー」などのように使う「温かい」という言葉。
「温かい」は、訓読みで「あたたかい」と読みます。
「温かい」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「温かい」の意味や使い方について、小説などの用例を紹介して、わかりやすく解説していきます。
温かいの意味
「温かい」には次の二つの意味があります。
1 物が冷たくなく、また熱すぎもせず、程よい状態である。
2 思いやりがある。いたわりの心がある。(出典:デジタル大辞泉)
それぞれの意味や使い方については下記の通りです。
温かいの意味①「物が冷たくなく、また熱すぎもせず、程よい状態である。」
「温かい」の一つ目の意味は「物が冷たくなく、また熱すぎもせず、程よい状態である。」です。
言い換えると、触れている物、又は触れられている部分が、ちょうどいい温度である、ということです。
有形・無形を問わず物に対して用いられ、温度を感じているは身体の一部分です。
同じ読みで違う漢字を用いる「暖かい」は、気候やその場の空気の温度、つまりは身体全体で感じている温度を表していることから意味が異なるので、漢字の間違いをしないよう注意が必要です。
「暖かい」の対義語が「寒い」であるのに対し、「温かい」の対義語は「冷たい」です。
小説などでの具体的な使い方は下記の通り。
使い方・例文
・ご飯を炊いたあと、鍋に水を入れておいたので、水が温かくなっていた。
(出典:エクトール・マロ『家なき娘〔上〕』)
・そっと腕に手を乗せてみるとちゃんと手のひらから温かさが伝わってきます。
(出典:宮谷シュンジ『絶望の世界 4狭間の世界 ボクの日記』)
・自分の身体自体は無いのだが、温かいものに身を包まれている感触はある。
(出典:川上稔『AHEADシリーズ 6 終わりのクロニクル3〈中〉』)
・ずっと持っていたせいか、彼女の体温でぬいぐるみが温かくなっていた。
(出典:乙一『平面いぬ。』)
・拾い上げてスイッチを入れると、私の手に生温かい血がべったり付いた。
(出典:イネス/池央耿訳『ベルリン空輸回廊』)
温かいの意味②「思いやりがある。いたわりの心がある。」
「温かい」の二つ目の意味は「思いやりがある。いたわりの心がある。」です。
言い換えると、優しさや親切さ、情や許し、承諾など、好意的あるいは友好的な印象があることを表しています。
①の意味で述べた通り、「暖かい」は身体全体、「温かい」は身体の一部で感じる場合に用いられることから、この場合は「心」という体の部分で感じているため「温」の漢字が用いられる、ということになります。
この場合も①と同じく、対義語は「冷たい」にです。
小説などでの具体的な使い方は下記の通り。
使い方・例文
・私はこの頃はあなたたち二人の温かい静かな愛情と理解とに生きています。
(出典:倉田百三『青春の息の痕』)
・まず母親がやることは、夫のことを温かくみつめることじゃないのかね?
(出典:青木雨彦『男の日曜日』)
・犬や猫に温かくて人間には冷たいという人間を何人となく見てきた。
(出典:開高健『ずばり東京』)
・彼の温かな笑顔を瞳に焼きつけることができなかったことが悔やまれた。
(出典:新堂冬樹『忘れ雪』)
・さっき温かい言葉をかけてもらった時と、同じ顔をしていたように思うのだ。
(出典:吉野匠『レイン1 雨の日に生まれた戦士』)