思案
「あれこれ思案する」などのように使う「思案」という言葉。
「思案」は、音読みで「しあん」と読みます。
「思案」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「思案」の意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介しながら、わかりやすく解説していきます。
思案の意味
「思案」には次の二つの意味があります。
1 あれこれと考えめぐらすこと。また、その考え。
2 心配。(出典:デジタル大辞泉)
それぞれの意味、使い方、類語については下記の通りです。
思案の意味①「あれこれと考えめぐらすこと。また、その考え。」
「思案」の一つ目の意味は「あれこれと考えめぐらすこと。また、その考え。」です。
この場合の「思案」は能動的によく考える、検討するといったニュアンスがあります。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・次郎は自分の机のうえに学校道具をおくと、立ったまま、何か思案した。
(出典:下村湖人『次郎物語』)
・ 目の前の代物にどこから手をつけようかと思案しているようでもある。
(出典:ろくごまるに『封仙娘娘追宝録・奮闘編05 最後の宝貝』)
・この男は、思案するときにでも言葉をえらんで考えるのだそうである。
(出典:太宰治『猿面冠者』)
・なんとかして、手に入れる方法はないものかと、思案したのであった。
(出典:佐藤垢石『莢豌豆の虫』)
類語
・考慮(こうりょ)
意味:物事を、いろいろの要素を含めてよく考えること。(出典:デジタル大辞泉)
・思考(しこう)
意味:考えること。経験や知識をもとにあれこれと頭を働かせること。(出典:デジタル大辞泉)
・知恵を絞る(ちえをしぼる)
意味:あれこれ苦心して考える。(出典:デジタル大辞泉)
・画策(かくさく)
意味:はかりごとをめぐらすこと。ひそかに計画を立てること。また、その計画。(出典:デジタル大辞泉)
思案の意味②「心配。」
「思案」の二つ目の意味は「心配。」です。
こちらの場合は能動的に検討するというよりも、思い悩む、心を痛める、不安になる、などの外からの要因に影響されて起こる考えという意味を指します。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・ とはじめて頷いたが、隼人の額にだんだんと沈んだ思案の陰影がさした。
(出典:大佛次郎『赤穂浪士(上)』)
・火気をおびている額に幾筋も濃い皺がえがかれて思案に暗い顔付だった。
(出典:大佛次郎『赤穂浪士(上)』)
・人相のよくない男が、思案顔で立っているのが気になるのであろう。
(出典:藤沢周平『暁のひかり』)
・私は港へ来てからもおいよさんとの交渉がどうなつたか思案しない日はなかつた。
(出典:長塚節『隣室の客』)
類語
・案ずる(あんずる)
意味:心配する。気にかける。 (出典:大辞林 第三版)
・物思い(ものおもい)
意味:あれこれと考えること。また、思いわずらうこと。(出典:デジタル大辞泉)
・憂慮(ゆうりょ)
意味:心配すること。思いわずらうこと。(出典:デジタル大辞泉)
・心を砕く(こころをくだく)
意味:いろいろと気を遣う。心配する。(出典:デジタル大辞泉)