なまじ
「なまじなことでは」などのように使う「なまじ」という言葉。
「なまじ」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「なまじ」の意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介しながら、わかりやすく解説していきます。
なまじの意味
「なまじ」には次の二つの意味があります。
1 完全ではなく中途半端であるさま。いいかげん。なまじっか。
2 無理にしようとするさま。しなければよかったのに、という気持ちで用いる。なまじっか。(出典:デジタル大辞泉)
それぞれの意味、使い方、類語については下記の通りです。
なまじの意味①「完全ではなく中途半端であるさま。いいかげん。なまじっか。」
「なまじ」の一つ目の意味は「完全ではなく中途半端であるさま。いいかげん。なまじっか。」です。
形容動詞として、「なまじな」「なまじの」などの形で使うことが多いです。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・なまじな者が弾けばかえって真のロンドをよごされるとわれわれは思う。
(出典: 五味康祐『西方の音』)
・それがまたなまじな小言などよりどれほどか深く対者の弱点を突くのです。
(出典:岡本かの子『岡本一平論』)
・それまでは、なまじっかなつっかい棒はなんの役にも立ちますまい。
(出典: 岸田国士『S夫人への手紙』)
類語
・なまじっか
意味:完全ではなく中途半端であるさま。いいかげん。(出典:デジタル大辞泉)
・不完全(ふかんぜん)
意味:欠けたり十分でないところがあったりして、完全でないこと。また、そのさま。(出典:デジタル大辞泉)
・不備(ふび)
意味:必要なものが完全にはそろっていないこと。また、そのさま。(出典:デジタル大辞泉)
なまじの意味②「無理にしようとするさま。しなければよかったのに、という気持ちで用いる。なまじっか。」
「なまじ」の二つ目の意味は「無理にしようとするさま。しなければよかったのに、という気持ちで用いる。なまじっか。」です。
中途半端に何かをしたばかりに、というような意味でも使います。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・なまじ特殊な技術を身につけたために、本当の己れが空疎になっていた。
(出典: 井伏鱒二『小説日本芸譚』)
・なまじ国王の妹など妻にしたばかりに恐ろしく不自由な思いをしていた。
(出典: 茅田砂胡『デルフィニア戦記 第8巻 「風塵の群雄」』)
・新撰堂とは全く縁がないし、なまじ同業者であると名乗らない方がよい。
(出典: 光瀬龍『所は何処、水師営-SF西郷隆盛と日露戦争』)
・なまじ軍法に通じているだけに、彼にはありありとそのことがわかるのだ。
(出典:山田風太郎『忍法帖4 忍法八犬伝』)
・なまじ、気配を殺してそのような動きをすれば、それは怪しいとわかる。
(出典:夢枕獏『東天の獅子 第四巻 天の巻・嘉納流柔術』)
類語
・なまじっか
意味:無理にしようとするさま。しなければよかったのに、という気持ちで用いる。なまじっか。(出典:デジタル大辞泉)
・生兵法(なまびょうほう)
意味:十分身についていない知識や技術。なまはんかな学問。(出典:デジタル大辞泉)
・嘴が黄色い(くちばしがきいろい)
意味:年が若くて経験が浅い。年若い人や未熟な人などをあざけっていう語。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・寸足らず(すんたらず)
意味:程度や内容が普通より少し劣ること。また、そのさま。(出典:デジタル大辞泉)