懐紙
「懐紙に菓子を取る」などのように使う「懐紙」という言葉。
「懐紙」は、音読みで「かいし」、または訓読みで「ふところがみ」と読みます。
「懐紙」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「懐紙」の意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介しながら、わかりやすく解説していきます。
懐紙の意味
「懐紙」には次の意味があります。
・畳んでふところに入れておく紙。臨時に書状や詩歌の料紙に用いたり、茶席で菓子を取り分けたり茶碗の縁などをふくのに用いたりする。ふところがみ。畳紙たとうがみ。(出典:デジタル大辞泉)
現在では、ほとんど茶道の席でしか見られることがなく、ちり紙やハンカチのような使い方をします。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・額にうかんだ冷や汗を、取り出した懐紙でいそがしく拭きながら言った。
(出典:藤沢周平『よろずや平四郎活人剣(上)』)
・おもむろに懐から出した懐紙に餅をすべて移すと、抱えて部屋から出て行く。
(出典:畠中恵『しゃばけ』)
・夫人がどこからか懐紙を出して卓の上におくと、宗光はそれをとって口をおさえた。
(出典:山田風太郎『エドの舞踏会 山田風太郎明治小説全集8』)
・その中には、いなみからもらった手間賃も懐紙に包まれたまま入っていた。
(出典:宇江佐真理『髪結い伊三次捕物余話 紫紺のつばめ』)
・船乗りたちはオナリ神になった姉か妹の髪を懐紙に包みお守りとしたものだ。
(出典:池上永一『テンペスト1 若夏の巻』)
類語
・畳紙(たとうがみ)
意味:折り畳んで懐中に入れ、歌などを書いたり、鼻紙に用いたりした紙。(出典:日本大百科全書(ニッポニカ))
・内懐(うちぶところ)
意味:膚に近いふところ。和服のえりを合わせたとき、下前と膚との間につける袋。また、洋服では上着の内ポケットをいう。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・懐中(かいちゅう)
意味:ふところやポケットの中。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・ちり紙(ちりがみ)
意味:廃物利用の下等紙のこと。(出典:日本大百科全書(ニッポニカ))
・鼻紙(はながみ)
意味:鼻汁などをぬぐったりすることに使用する薄い紙。畳紙(たとうがみ)、懐紙(ふところがみ)ともいう。(出典:精選版 日本国語大辞典)