淘汰
「自然淘汰」などのように使う「淘汰」という言葉。
「淘汰」は、音読みで「とうた」と読みます。
「淘汰」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「淘汰」の意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介しながら、わかりやすく解説していきます。
淘汰の意味
「淘汰」には次の二つの意味があります。
1 よい物を選び、悪い物を除くこと。また、水で洗ってより分けること。
2 自然環境の中で、生存に適するものが残り、適しないものは消え去る現象。選択。(出典:大辞林 第三版)
それぞれの意味、使い方、類語については下記の通りです。
淘汰の意味①「よい物を選び、悪い物を除くこと。また、水で洗ってより分けること。」
「淘汰」の一つ目の意味は「よい物を選び、悪い物を除くこと。また、水で洗ってより分けること。」です。
「淘」と「汰」は、どちらも「水で洗ってより分ける」を意味する漢字で、「淘汰」は同じ意味の漢字を重ねた二字熟語です。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・またそのまえに改革か淘汰が行なわれるに違いないという噂に思い及んだ。
(出典:夏目漱石『門』)
・これが出来ない人は従来どおりのただの中間層でしかなく、淘汰されるほかない。
(出典:片岡義男『日本語の外へ(下)』)
・サーカス興行は多くが淘汰され、近代化した企業だけが生き残っている。
(出典:奥田英朗『空中ブランコ』)
・結構ブームになったと思ったのに、あっという間に淘汰されちゃったぜ。
(出典:西尾維新『鬼物語』)
類語
・選別(せんべつ)
意味:より分けること。あるものを他のものよりすぐれているとして区別すること。(出典:大辞林 第三版)
・除去(じょきょ)
意味:じゃまなものをのぞき去ること。取りのけること。(出典:デジタル大辞泉)
・弾き出す(はじきだす)
意味:仲間から追い出す。仲間はずれにする。(出典:大辞林 第三版)
・スクリーニング
意味:ふるいわけ。適格審査。(出典:大辞林 第三版)
淘汰の意味②「自然環境の中で、生存に適するものが残り、適しないものは消え去る現象。選択。」
「淘汰」の2つ目の意味は「自然環境の中で、生存に適するものが残り、適しないものは消え去る現象。選択。」です。
この意味では生物学の分野で使われます。
具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・今日の生きものたちは、淘汰されて、もっと原始的な形から進歩した。
(出典:ピアズ・アンソニイ『魔法の国ザンス01~カメレオンの呪文~』)
・それがそれぞれの個体が生きるためだけに行われたことであれば、それは自然淘汰の一場面にすぎない。
(出典:富野由悠季『オーラバトラー戦記 08 マシン増殖』)
・これは偶然の変異と白然淘汰を原則とする進化論を根底から覆すものである。
(出典:ホーガン『ガニメデの優しい巨人)
・少なくとも気候という点では、それぞれまさに正反対の淘汰を受けてきたのだ。
(出典:竹内久美子『パラサイト日本人論 ウイルスがつくった日本のこころ』)
類語
・適者生存(てきしゃせいぞん)
意味:生存競争で環境に最も適したものだけが生き残って子孫を残しうること。(出典:デジタル大辞泉)
・自然選択(しぜんせんたく)
意味:生物の生存競争において、少しでも有利な形質をもつものが生存して子孫を残し、適しないものは滅びること。(出典:デジタル大辞泉)
・間引く(まびく)
意味:野菜などを十分に生育させるために、間を隔てて抜いて、まばらにする。(出典:デジタル大辞泉)