朝三暮四
「朝三暮四の世」などのように使う「朝三暮四」という言葉。
「朝三暮四」は、音読みで「ちょうさんぼし」と読みます。
「朝三暮四」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「朝三暮四」の意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介しながら、わかりやすく解説していきます。
朝三暮四の意味
「朝三暮四」には次の二つの意味があります。
1 目先の違いに気をとられて、実際は同じであるのに気がつかないこと。また、うまい言葉や方法で人をだますこと。
2 生計。くらし。(出典:デジタル大辞泉)
それぞれの意味、使い方、類語については下記の通りです。
朝三暮四の意味①「目先の違いに気をとられて、実際は同じであるのに気がつかないこと。また、うまい言葉や方法で人をだますこと。」
「朝三暮四」の一つ目の意味は「目先の違いに気をとられて、実際は同じであるのに気がつかないこと。また、うまい言葉や方法で人をだますこと。」です。
昔、中国の猿回しが、飼っている猿にトチの実を与えるのに、朝に三つ、暮れに四つやると言うと猿が少ないと怒ったため、朝に四つ、暮れに三つやると言うと大変喜んだ、という故事が由来となっています。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・この信長・元康両雄の軍事同盟は、朝三暮四の乱世には珍しく、信長の死に至るまで、十数年間、一度として改変されずに実施された。
(出典:桑田忠親『斎藤道三』)
・例のフランス流によって彼らは朝三暮四、極端から極端へと移り変わっていって、すべてを知ってると公言したかと思えば、すぐあとでは何にも知らないと公言した。
(出典:ロラン・ロマン『ジャン・クリストフ』)
・凡庸なヴィーンの聴衆もこの巨人的作品にはさすがに圧倒せられた。ヴィーンの朝三暮四流もそのため一時は熱狂した。
(出典:ロラン・ロマン『ジャン・クリストフ』)
類語
・五十歩百歩(ごじっぽひゃっぽ)
意味:ある程度の違いはあるものの、結局はどちらも同じようなものであることのたとえ。(出典:故事成語を知る辞典)
・捕らぬ狸の皮算用(とらぬたぬきのかわざんよう)
意味:不確かなもうけ話を自分につごうよく考え、あれこれ先走ることのたとえ。(出典:ことわざを知る辞典)
・大同小異(だいどうしょうい)
意味:体は同じで、少しだけ違っていること。細かな部分は異なっているが、全体としては似たりよったりで大差のないこと。(出典:四字熟語を知る辞典)
・井の中の蛙(いのなかのかわず)
意味:自分の狭い知識や経験にとらわれ、他に広い世界があるのを知らない者のたとえ。(出典:ことわざを知る辞典)
朝三暮四の意味②「生計。くらし。」
「朝三暮四」の二つ目の意味は「生計。くらし。」です。
朝三暮四は生きていけるだけの生計のことを意味します。
具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・今は朝三暮四の給料であるといえる。
・かつては朝三暮四であったが、見てみろ!漸くこれまでの成果が実を結んだのだ。
・あまりに質素な暮らしであることが推測でき、朝三暮四とはこのことかと冷静に分析する。
類語
・家計(かけい)
意味:一家の生活を維持する経済。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・活計(かっけい)
意味:暮らしを営むこと。また、その手段(出典:デジタル大辞泉)