吝か
「吝かではない」などのように使う「吝か」という言葉。
「吝か」は、訓読みで「やぶさか」と読みます。
「吝か」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「吝か」の意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介しながら、わかりやすく解説していきます。
吝かの意味
「吝か」には次の二つの意味があります。
1 (「…にやぶさかでない」の形で)…する努力を惜しまない。喜んで…する。
2 物惜しみするさま。けちなさま。(出典:デジタル大辞泉)
それぞれの意味、使い方、類語については下記の通りです。
吝かの意味①「(「…にやぶさかでない」の形で)…する努力を惜しまない。喜んで…する。」
「吝か」の一つ目の意味は「(「…にやぶさかでない」の形で)…する努力を惜しまない。喜んで…する。」です。
「吝かではない」と使うことで、頼まれごとや物事に対して前向きに取り組む意味になります。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・幸子にこのような下心があれば、姑への協力は吝かではなかったはずだ。
(出典:松本清張『高台の家』)
・ただ、貴重な助言への答えを返すことについては、吝かではなかった。
(出典:高橋弥七朗『灼眼のシャナ 第9巻』)
・あと支配を円滑えんかつに進めるため、我が民の悩みを解決する事も吝かではない。
(出典:沖田雅『先輩とぼく 1』)
・冗談で捏造してみたが、一度ぐらいなら観賞しても吝かではない気がした。
(出典:入間人間『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん 3 死の礎は生』)
類語
・喜んで(よろこんで)
意味:(「よろこんで…」の形で)すすんで、気持ちよく受け入れる。(出典:デジタル大辞泉)
・進んで(すすんで)
意味:自分から積極的に。(出典:デジタル大辞泉)
・構わない(かまわない)
意味:差し支えない。気にしない。(出典:デジタル大辞泉)
吝かの意味②「物惜しみするさま。けちなさま。」
「吝か」の二つ目の意味は「物惜しみするさま。けちなさま。」です。
「それを行うことに吝かである」などのようにあまり乗り気ではない時に使います。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・評壇もその作品に注意することが極めて吝かであつたらしい。
(出典:有島武郎『水野仙子氏の作品について』)
・罪を改めるに吝かであってはならぬ。
(出典:戸坂潤『世界の一環としての日本』)
・高く評価されるべきものであり、その功績を認めるに吝かであってはなるまい。
(出典:渡部昇一『新常識主義のすすめ』)
・称められたもうアッラーは、その御恵みを頒ちたもう際には、決して吝かにしたまわぬことを、汝らは一刻も考えぬ。
(出典:佐藤正彰訳『千一夜物語』)
類語
・不本意(ふほんい)
意味:自分の本当の望みとは違っていること。また、そのさま。(出典:デジタル大辞泉)
・気無し(きなし)
意味:気乗りがしないこと。気が入っていないこと。また、そのさま。(出典:デジタル大辞泉)
・けち臭い(けちくさい)
意味:いかにもけちである。しみったれだ。(出典:デジタル大辞泉)
・しみったれ
意味:物惜しみすること。けちけちしていること。また、そういう人や、そのさま。(出典:デジタル大辞泉)