顧みる
「過去を顧みる」などのように使う「顧みる」という言葉。
「顧みる」は、訓読みで「かえりみる」と読みます。
「顧みる」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「顧みる」の意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介しながら、わかりやすく解説していきます。
顧みるの意味
「顧みる」には次の三つの意味があります。
1 過ぎ去った事を思い起こす。回顧する。
2 心にとどめ考える。気にかける。
3 振り返って見る。(出典:デジタル大辞泉)
それぞれの意味、使い方、類語については下記の通りです。
顧みるの意味①「過ぎ去った事を思い起こす。回顧する。」
「顧みる」の一つ目の意味は「過ぎ去った事を思い起こす。回顧する。」です。
ただ過ぎ去った過去の出来事を振り返るときに使われます。
同じ読み方の「省みる」は、自分の行った行動などを振り返り反省するという意味になります。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・朝比奈さん相手に失敗したばかりだが過去を顧みる余裕も失われていた。
(出典:谷川流『涼宮ハルヒの消失』)
・彼はあの当時から今日きょうの日までのあいだに流れ過ぎた幾年かを顧みた。
(出典:マン/高橋義孝訳『トニオ・クレーゲル/ヴェニスに死す』)
・私は父が画家として私を顧みながら語った幾つかの言葉を思い出す。
(出典:神西清『恢復期』)
類語
・追憶(ついおく)
意味:過ぎ去ったことに思いをはせること。過去をしのぶこと。(出典:デジタル大辞泉)
・回顧(かいこ)
意味:過ぎ去ったことを思い起こすこと。(出典:デジタル大辞泉)
・回想(かいそう)
意味:過ぎ去ったことを思い起こすこと。回思。(出典:精選版 日本国語大辞典)
顧みるの意味②「 心にとどめ考える。気にかける。」
「顧みる」の二つ目の意味は「 心にとどめ考える。気にかける。」です。
心配したり、相手のことを気にするときに使います。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・仕事仕事仕事で、ほとんど家庭というものを顧みることがなかったからだ。
(出典:吉村達也『踊る少女』)
・それに家族を顧みないで生きているべき理由は少しもありません。
(出典:小酒井不木『墓地の殺人』)
・土曜の夜は眠ることもできず、将来のことも顧みずに灯をつけてしまった。
(出典:ラヴクラフト全集5『01 「神殿」』)
類語
・配慮(はいりょ)
意味:心をくばること。心づかい。(出典:デジタル大辞泉)
・心配(しんぱい)
意味: 心を配ること。心づかい。気づかい。配慮。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・留意(りゅうい)
意味:ある物事に心をとどめて、気をつけること。(出典:デジタル大辞泉)
顧みるの意味③「 振り返って見る。」
「顧みる」の三つ目の意味は「 振り返って見る。」です。
単純に後ろをふりむいて見るときに用いられ、「背後を顧みる」などのように使います。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・彼の恐怖が伝わって、私も妙にうしろが顧みられるような気がしはじめた。
(出典:江戸川乱歩『孤島の鬼』)
・大きな声をして後ろを顧みながら、呼んでみたが返事がありません。
(出典:中里介山『大菩薩峠』)
・その時は親は子を顧みることが出来ず、子も親を顧みることが出来ない。
(出典:森鴎外『山椒大夫・高瀬舟』)
類語
・見返す(みかえす)
意味:後ろを振り向いて見る。振り返って見る。(出典:デジタル大辞泉)
・振り返る(ふりかえる)
意味:後方へ顔を向ける。振り向く。(出典:デジタル大辞泉)
・顧望(こぼう)
意味:振り向いて見ること。(出典:デジタル大辞泉)