隔離
「隔離によって感染病を封じ込める」などのように使う「隔離」という言葉。
「隔離」は、音読みで「かくり」と読みます。
「隔離」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「隔離」の意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介しながら、わかりやすく解説していきます。
隔離の意味
「隔離」には次の二つの意味があります。
1 へだたること。へだて離すこと。
2 伝染性の病原体の蔓延を防ぐためなど、他から引き離して接触を避けること。
(出典:デジタル大辞泉)
それぞれの意味、使い方、類語については下記の通りです。
隔離の意味①「へだたること。へだて離すこと。」
「隔離」の一つ目の意味は「へだたること。へだて離すこと。」です。
外界からのあらゆる接触が絶たれている状態を指します。
「隔離」された者に外へと働きかける術はないか、あるいはかなり制限されることになります。
具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・まるで家とは隔離された場所のように、飾りも家具も何もない部屋だった。
(出典:角田光代『幸福な遊戯』)
・彼は地獄の家に居るよりも、隔離されたところに独居していたかった。
(出典:松本清張『虚線の下絵』)
・警察はグリコとあたしを隔離するためにわざわざ部屋を二つ用意してくれた。
(出典:岩井俊二『スワロウテイル』)
・隔離罰を受けているあいだ、誰ひとり彼女に口をきいてくれなかった。
(出典:村上春樹『1Q84 BOOK2』)
類語
・軟禁(なんきん)
意味:比較的ゆるやかな監禁。家または室内にとどめておき、外部との交渉・接触を自由にさせないこと。(出典:デジタル大辞泉)
・幽閉(ゆうへい)
意味:ある場所に閉じこめて外に出さないこと。(出典:デジタル大辞泉)
・排斥(はいせき)
意味:受け入れられないとして、押しのけ、しりぞけること。(出典:デジタル大辞泉)
・別離(べつり)
意味:別れること。遠く離れること。離別。(出典:精選版 日本国語大辞典)
隔離の意味②「伝染性の病原体の蔓延(まんえん)を防ぐためなど、他から引き離して接触を避けること。」
「隔離」の二つ目の意味は「伝染性の病原体の蔓延(まんえん)を防ぐためなど、他から引き離して接触を避けること。」です。
この場合、医学的観点から有効性を認められた方法としての意味合いが強くなります。
具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・ただ伝染病であることだけはわかっていたから、ともかくも隔離はする。
(出典:山田風太郎『明治十手架(下) 山田風太郎明治小説全集14』)
・彼のような病気を持った者がどうして隔離されないのだろうか。
(出典:島尾敏雄『出発は遂に訪れず』)
・隔離方法や衛生観念の普及に努めているから思ったようにははかどらない。
(出典:松本清張『赤い氷河期』)
・隔離病舎に入れられて彼が口をきいたのは、これが初めてだった。
(出典:辺見じゅん『完本 男たちの大和(下)』)
類語
・収容(しゅうよう)
意味:人や物を一定の場所や施設に入れること。(出典:デジタル大辞泉)
・シャットアウト
意味:閉め出すこと。(出典:デジタル大辞泉)
・封鎖(ふうさ)
意味:出入りまたは出し入れをできないように封じ閉ざすこと。(出典:デジタル大辞泉)
・アウトブレーク
意味:病気の感染が爆発的に広がること。急激な患者の増加。病気の集団発生。感染多発。
(出典:デジタル大辞泉)