険しい
「険しい道程」などのように使う「険しい」という言葉。
「険しい」は、訓読みで「けわしい」と読みます。
「険しい」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「険しい」の意味や使い方について、小説などの用例を紹介しながら、わかりやすく解説していきます。
険しいの意味
「険しい」には次の三つの意味があります。
1 傾斜が急で、登るのに困難であるさま。
2 困難や危険な事態が予想されるさま。
3 怒りや緊張のため、言葉や表情などがとげとげしいさま。(出典:デジタル大辞泉)
「険しい」には他の意味もありますが、上記の意味で使われることがほとんどです。
それぞれの意味や使い方については下記の通りです。
険しいの意味①「傾斜が急で、登るのに困難であるさま。」
「険しい」の一つ目の意味は「傾斜が急で、登るのに困難であるさま。」です。
例えば、「険しい山道」で「傾斜が急で、登りづらい山道」という意味になります。
小説などでの具体的な使い方は下記の通り。
使い方・例文
・危難を遁がれた島君は険しい峠を上へ上へと力の続く限り駈け上がった。
(出典:国枝史郎『蔦葛木曽棧』)
・温泉を目指してしばらく行ったころ、左側に険しい丘が姿を見せてくる。
(出典:ニコル『C・W・ニコルの旅行記』)
・一同が城に行く、険しい道を登り始めた頃は、もう昼過ぎになっていた。
(出典:ロレンス/吉田健一訳『息子と恋人 中巻』)
険しいの意味②「困難や危険な事態が予想されるさま。」
「険しい」の二つ目の意味は「困難や危険な事態が予想されるさま。」です。
例えば、「目的達成への道は険しい」という文で「目的達成を達成するにあたり、困難が予想される」という意味になります。
小説などでの具体的な使い方は下記の通り。
使い方・例文
・今のところまだ道は険しそうだが、テルはなかなかうまくやってるよ。
(出典:エディングス『エレニア記5 聖都への旅路』)
・その道は遠くて険しいかも知らないが、選ばれた者の道である。
(出典:薄田泣菫『茶話』)
・しかし、近代を迎える時点までは、解放への道のりは遠く険しかった。
(出典:島崎藤村『破戒』)
険しいの意味③「怒りや緊張のため、言葉や表情などがとげとげしいさま。」
「険しい」の三つ目の意味は「怒りや緊張のため、言葉や表情などがとげとげしいさま。」です。
例えば、「険しい表情」で「怒りや緊張により、とげとげしい表情」という意味になります。
小説などでの具体的な使い方は下記の通り。
使い方・例文
・そいつはよくある鬼とかモンスターとかの険しく強そうな表情ではない。
(出典:喬林知『今日からマ王 第2巻 「今度はマのつく最終兵器!」』)
・夫人と向きあって、相変らず険しい眼をしてじっと何か考えていられる。
(出典:下村湖人『次郎物語』)
・その声があまり険しくなくて、眠そうな口調なのは、自分でも意外だった。
(出典:丸谷才一『年の残り 他』)