身近
「身近な問題」などのように使う「身近」という言葉。
「身近」は、訓読みで「みぢか」と読みます。
「身近」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「身近」の意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介しながら、わかりやすく解説していきます。
身近の意味
「身近」には次の三つの意味があります。
1 身に近い場所。からだの近くであること。また、そのさま。身辺。
2 自分に関係の深いこと。また、そのさま。
3 日常にありふれていること。また、そのさま。(出典:精選版 日本国語大辞典)
それぞれの意味、使い方、類語については下記の通りです。
身近の意味①「身に近い場所。からだの近くであること。また、そのさま。身辺。」
「身近」の一つ目の意味は「身に近い場所。からだの近くであること。また、そのさま。身辺。」です。
この場合の「身近」は、物理的な距離の近さを表します。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・浅見が身近に接近するまで気づかないほど、女性は展示品に没入している。
(出典:内田康夫『斎王の葬列』)
・そのうちに、彼はとつぜん身近に、ひゅうひゅうという妙な音を聞いた。
(出典:海野十三『火星兵団』)
・重役たちは多分、生まれてはじめて本物の銃声を身近に聞いたのであろう。
(出典:大藪春彦『蘇える金狼 完結篇』)
類語
・間近(まぢか)
意味:間近いこと。また、そのさま。(出典:デジタル大辞泉)
・咫尺(しせき)
意味:距離が非常に近いこと。(出典:デジタル大辞泉)
・手近い(てぢかい)
意味:手が届くほどの近さにある。すぐそばにある。(出典:デジタル大辞泉)
身近の意味②「自分に関係の深いこと。また、そのさま。」
「身近」の二つ目の意味は「自分に関係の深いこと。また、そのさま。」です。
この場合の「身近」は、自分との関係における近さを表しています。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・生徒たちにとって、戦争が身近なものにならないというのは無理もない。
(出典:三浦綾子『銃口』)
・それも、彼らにとって最も身近な問題である宗教にからむ話題を選択した。
(出典:吾妻博勝『新宿歌舞伎町 マフィアの棲む街』)
・お国のためといふ言葉が、こんなに身近な言葉だとはつい知らなかつた。
(出典:岸田国士『妻の日記』)
類語
・密接(みっせつ)
意味:深い関係にあること。また、そのさま。(出典:デジタル大辞泉)
・切っても切れない(きってもきれない)
意味:切ろうとしても切ることができない。関係が極めて深いことにいう。(出典:デジタル大辞泉)
・緊密(きんみつ)
意味:物と物とがすきまなくくっつくこと。物事の関係が密接なこと。また、そのさま。(出典:デジタル大辞泉)
身近の意味③「日常にありふれていること。また、そのさま。」
「身近」の三つ目の意味は「日常にありふれていること。また、そのさま。」です。
この場合の「身近」は、「身近な例」という使われ方が多いです。「身近な例」は「ありふれた例」を意味します。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・この質問は身近な例の中に社会的不公平を首尾よく指摘している。
(出典:バルザック・オノレ・ド『ゴリオ爺さん』)
・私たちの身近に今行われていることから実例をとって考える。
(出典:宮本百合子『今日の生活と文化の問題』)
・もっと身近な例をとると、結婚した夫婦が、ハネムーン先で一つの契約をしたとする。
(出典:小池真理子『悪の愛情論』)
類語
・卑近(ひきん)
意味:身近でありふれていること。(出典:デジタル大辞泉)
・有り触れる(ありふれる)
意味:どこにでもある。ざらにある。普通であって珍しくない(出典:デジタル大辞泉)
・日常茶飯(にちじょうさはん)
意味:毎日のありふれた事柄。日常茶飯事。(出典:デジタル大辞泉)