蟷螂の斧
「蟷螂の斧をふるう」などのように使う「蟷螂の斧」という言葉。
「蟷螂の斧」は、音読みで「とうろうのおの」と読みます。
「蟷螂の斧」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「蟷螂の斧」の意味や使い方について、小説などの用例を紹介して、わかりやすく解説していきます。
蟷螂の斧の意味
「蟷螂の斧」には次の意味があります。
・弱小のものが、自分の力量もわきまえず、強敵に向かうことのたとえ。(出典:デジタル大辞泉)
「カマキリが前足を上げて大きな車の進行を止めようとする」という意味から生まれたことわざ・故事成語です。
小説などでの具体的な使い方・例文は下記の通り。
使い方・例文
・奉行所が悪い奴とぐるでは、どんなに腕利きの岡っ引でも蟷螂の斧です。
(出典:松本清張『鬼火の町 新装版』)
・上杉が徳川に向って蟷螂の斧をふるう雲ゆきはすでにきざしていたからである。
(出典:山田風太郎『叛旗兵』)
・幸い、食物合成機で氷が作れるので皆それで涼んではいるが、にしても上がり続ける気温の前では蟷螂の斧である。
(出典:神野オキナ『あそびにいくヨ!第7巻』)
・銃弾は丸竹にあたって横にそれたが、所詮、その盾も蟷螂の斧でしかなかった。
(出典:綱淵謙錠『斬(ざん)』)
・味沢は健気にも蟷螂の斧を振り立てて大場に歯向かっていったが、抵抗むなしく、その牙の中にがっちりと捕えられてしまった。
(出典:森村誠一『野性の証明』)
・所詮、蟷螂の斧、と見ているお福は、鎮圧が思ったより長びいても、全く危惧は覚えていない。
(出典:堀和久『春日局』)
・あたしの世間体なんて、遠坂凛に比べたら蟷螂の斧ってもんよ。
(出典:奈須きのこ『Fate/stay night プロローグ』)
・あっと驚いて一同は飛び離れたが、 「小癪な女め、蟷螂の斧だ」 と一人が懐剣の下を潜ってその手を捻じ上げた。
(出典:吉川英治『剣難女難』)