穿つ
「石を穿つ」などのように使う「穿つ」という言葉。
「穿つ」は、訓読みで「うがつ」と読みます。
「穿つ」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「穿つ」の意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介しながら、わかりやすく解説していきます。
穿つの意味
「穿つ」には次の二つの意味があります。
1 穴をあける。掘る。また、突き通す。貫く。
2 人情の機微に巧みに触れる。物事の本質をうまく的確に言い表す。(出典:デジタル大辞泉)
それぞれの意味、使い方、類語については下記の通りです。
穿つの意味①「穴をあける。掘る。また、突き通す。貫く。」
「穿つ」の一つ目の意味は「穴をあける。掘る。また、突き通す。貫く。」です。
「穴をあける」を一つの語で言い表した言葉だと言えます。
なお、「雨垂れ石を穿つ」という表現で、小さなことでも根気よく続けていれば、最後にはうまくいくという意味になります。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・直ちに背後でリボルバーの音がそれに応じ、弾は私の足下の地面を穿った。
(出典:イネス/池央耿訳『ベルリン空輸回廊』)
・タリアはすでに五〇メートル上の岩を穿ったステーションに着いていた。
(出典:K・H・シェール『ドイツSF/シェール初期長編(全4巻) 1 地底のエリート』)
・また方形の広い池を穿っているのは養魚を業としているものであろう。
(出典:永井荷風『元八まん』)
・ガラス窓の上に、別の採光用の窓が館の外壁にでも穿たれているのだろう。
(出典:二階堂黎人『奇跡島の不思議』)
類語
・抉る(えぐる)
意味:刃物などを深く刺し入れ、回して穴をあける。くりぬく。(出典:デジタル大辞泉)
・穿孔(せんこう)
意味: 穴をあけること。穴のあくこと。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・ボーリング
意味:穴をあけること。くり抜くこと。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・突き抜く(つきぬく)
意味:突いて、反対側まで通す。(出典:デジタル大辞泉)
穿つの意味②「人情の機微に巧みに触れる。物事の本質をうまく的確に言い表す。」
「穿つ」の二つ目の意味は「人情の機微に巧みに触れる。物事の本質をうまく的確に言い表す。」です。
人の感情や物事の本質的な部分をとらえるという意味です。
なお、「疑って掛かるような見方をする」というのは本来の意味ではありません。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・それはそうと、先日の報告書は貴君一人の考えとは思えない穿った内容でした。
(出典:縞田理理『霧の日にはラノンが視える2』)
・こういう化け物に二千万の値が付くうちは、日本経済も奥が深いと、木野塚氏は穿った洞察をした。
(出典:樋口有介『木野塚探偵事務所だ』)
・しかもインテリだけに、なかなか辛辣なことを云ったり、穿った意見を述べたりする。
(出典:梶山季之『罠のある季節』)
・いわばやぶれかぶれの五十歳なのだと、穿った観察をする者もいた。
(出典:織田作之助『青春の逆説』)
類語
・見通す(みとおす)
意味:人の心や目に見えない内面の物事を見抜く。(出典:デジタル大辞泉)
・裏読み(うらよみ)
意味:表面には表されていない意味を読み取ること。(出典:デジタル大辞泉)
・詮索(せんさく)
意味:尋ねさがすこと。細かく調べ求めること。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・掘り下げる(ほりさげる)
意味:深く調べたり考えたりする。(出典:デジタル大辞泉)