福音
「福音書」などのように使う「福音」という言葉。
「福音」は、音読みで「ふくいん」と読みます。
「福音」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「福音」の意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介して、わかりやすく解説していきます。
福音の意味
「福音」には次の二つの意味があります。
1よろこばしい知らせ。
2キリスト教で、イエス‐キリストによってもたらされた、神からの喜びのおとずれ。(出典:精選版 日本国語大辞典)
それぞれの意味、使い方、類語については下記の通りです。
福音の意味①「よろこばしい知らせ」
福音の一つ目の意味は「よろこばしい知らせ」です。
ギリシャ語の「evangelion(朗報)」を意訳した言葉です。
小説などでの具体的な使い方や類語は下記の通り。
使い方・例文
・男子の誕生は大道寺の家にとって、最高の福音以外の何物でもなかった。
(出典:楡周平『マリア・プロジェクト』)
・そう答えなければ、彼が与えようとしているどんな福音も意味をなさなくなる。
(出典:石原慎太郎『化石の森』)
・私はこの福音を多くの人々に伝える悦ばしい任務を感じるのです。
(出典:柳宗悦『民芸とは何か』)
・それは爆発的な人口の増加で飽和状態にあった人類にとって最高の福音であった。
(出典:高千穂遙『ダーティペアシリーズ2 ダーティペアの大逆転』)
類語
・吉報(きっぽう)
意味:よいしらせ。喜ばしいしらせ。めでたいたより。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・朗報(ろうほう)
意味:明るいしらせ。うれしいしらせ。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・吉兆(きっちょう)
意味:めでたいしるし。縁起のよいきざし。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・追い風(おいかぜ)
意味:有利な状況。後押しとなる出来事。(出典:デジタル大辞泉)
福音の意味②「キリスト教で、イエス‐キリストによってもたらされた、神からの喜びのおとずれ。」
「福音」の二つ目の意味は「キリスト教で、イエス‐キリストによってもたらされた、神からの喜びのおとずれ。」です。
キリストが架刑に処され復活したことで啓示された救いのことをいいます。
キリストの死後、使徒たちがこの教えを書き記したものを「福音書」といいます。
小説などでの具体的な使い方や類語は下記の通り。
使い方・例文
・次に予は新約の四福音書と使徒行伝の初めの方少しばかりとを読んだ。
(出典:堺利彦『獄中生活』)
・全福音書中で、あの言葉だけが記憶されているなんて、やりきれないよ。
(出典:トルストイ/中村白葉訳『アンナ・カレーニナ(上)』)
・現代の福音宣伝者たちが成功しようなどと望むのは無用だ。
(出典:ハーン/平井呈一訳『東の国から』)
・問われて、ルイ十二世は福音と十字架にかけて、真実のみを述べると答えた。
(出典:佐藤賢一『王妃の離婚』)
類語
・恩寵(おんちょう)
意味:特に、キリスト教で神が人類に与える愛。神の恵み。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・加護(かご)
意味:神仏が慈悲の力を加えて、助け守ること。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・救済(きゅうさい)
意味:宗教で、救いによって得られる至福の状態。(出典:精選版 日本国語大辞典)