猫に鰹節
「猫に鰹節のようなものじゃないか」などのように使う「猫に鰹節」という言葉。
「猫に鰹節」は、「ねこにかつおぶし」と読みます。
「猫に鰹節」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「猫に鰹節」の意味や使い方について、小説などの用例を紹介して、わかりやすく解説していきます。
猫に鰹節の意味
「猫に鰹節」には次の意味があります。
・猫のそばに、その好物の鰹節を置くこと。油断できないこと、危険であることのたとえ。(出典:デジタル大辞泉)
猫にとって鰹節は好物であり、目の前にあって我慢できるわけもなく、すぐに食べられるから油断できない、ということをたとえたことわざです。
この言葉の批判の矛先は、鰹節を食べてしまう猫ではなく、食べられるかもしれないことをわかって猫の前にわざわざ鰹節を置いた人、つまりは油断ならない状況を作った人や事柄に向かっています。
小説などでの具体的な使い方・例文は下記の通り。
使い方・例文
・そういう人物にとって巴さんは、猫に鰹節だったんじゃないですか。
(出典:横溝正史『金田一耕助全集 [金田一耕助ファイル19] 横溝正史 「悪霊島 下」』)
・あるいは巴さんにとっても、青木氏は猫に鰹節だったかもしれません。
(出典:横溝正史『金田一耕助全集 [金田一耕助ファイル19] 横溝正史 「悪霊島 下」』)
・これがふだんから惚れあってる若い者の差し向い、猫に鰹節てえやつだ。
(出典:麻生芳伸編『落語特選(上)』)
・そういう男の鼻さきへ早苗のような若くて綺麗な娘をおいておくということは、猫に鰹節もおなじことではなかったのか。
(出典:横溝正史『金田一耕助全集 [金田一耕助ファイル15] 横溝正史 「悪魔の寵児」』)
・猫に鰹節といふことを、しなさる人だ。
(出典:坂口安吾『吹雪物語』)
・マーカー戸島は別に恋仇というほどのことではないが、金のある中年男を裕子の目の前にぶら下げておくのは、猫に鰹節である。
(出典:胡桃沢耕史『女探偵アガサ奔る』)
・小次郎の父良将が任地に赴くにあたって、その所領の少なからぬものの管理を国香に委任したのは、猫に鰹節の番をいいつけたようなものだった。
(出典:海音寺潮五郎『平将門 上巻』)
・血気さかんな信康にとっては猫に鰹節です。
(出典:海音寺潮五郎『史談と史論(上)』)