暖かい
「暖かい部屋」などのように使う「暖かい」という言葉。
「暖かい」は、訓読みで「あたたかい」と読みます。
「暖かい」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「暖かい」の意味や使い方について、小説などの用例を紹介しながら、わかりやすく解説していきます。
暖かいの意味
「暖かい」には次の三つの意味があります。
1 寒すぎもせず、暑すぎもせず、程よい気温である。あったかい。
2 金銭が十分にある。
3 色感がやわらかく、冷たい感じがしない。(出典:デジタル大辞泉)
それぞれの意味や使い方については下記の通りです。
暖かいの意味①「寒すぎもせず、暑すぎもせず、程よい気温である。あったかい。」
「暖かい」の一つ目の意味は「寒すぎもせず、暑すぎもせず、程よい気温である。あったかい。」です。
言い換えると、気候やその場の空気など、身体全体で感じる温度が寒すぎず暑すぎず、心地いい、という意味です。
同じ読みで別の漢字を使う「温かい」は、有形か無形かを問わず物や事に対して使い、その温度を感じるのは身体の一部です。
意味が変わりますので、混同しないよう注意が必要です。
また「温かい」の対義語が「冷たい」であるのに対し、「暖かい」の対義語は「寒い」です。
小説などでの具体的な使い方は下記の通り。
使い方・例文
・小六の部屋になった六畳は、畳こそ奇麗でないが、南と東が開いていて、家中で一番暖かい部屋なのである。
(出典:夏目漱石『門』)
・彼女が先月まで滞在していたシカゴに比べれば、この国の冬はずいぶん暖かかった。
(出典三雲岳斗『レベリオン 第2巻』)
・いいから寝直しましょ、布団に潜り込んで、暖かくしないと、って思うのに。
(出典:乾くるみ『マリオネット症候群』)
暖かいの意味②「金銭が十分にある。」
「暖かい」の二つ目の意味は「金銭が十分にある。」です。
簡単に言い換えると、お金をいっぱい持っている、という意味です。
お財布を意味する「懐(ふところ)」や「懐中(かいちゅう)」等の言葉と一緒に用いられるときは、この意味になります。
小説などでの具体的な使い方は下記の通り。
使い方・例文
・ルイ氏もまた、きっと懐が暖かいような気分だったにちがいない。
(出典:シムノン/矢野浩三郎訳『メグレとベンチの男』)
・八月の中比で国へ帰る連中はとうに帰ってしまい、懐の暖かな連中は海岸へ往ったり山へ往ったり、東京にいるのは金のない奴か物臭か、其のあたりのバーの女給にお思召をつけている奴か、それでなければ僕等のように酒ばかり飲み歩いている奴ばかりなのでしたよ。
(出典:田中貢太郎『提灯』)
・懐中が暖かくなったことを自覚するにつれ、ウージェーヌは反抗心を起こし出した。
(出典:バルザック/小西茂也訳『ゴリオ爺さん』)
暖かいの意味③「色感がやわらかく、冷たい感じがしない。」
「暖かい」の三つ目の意味は「色感がやわらかく、冷たい感じがしない。」です。
言い換えると、寒さや冷たさを連想させない、ぬくもりを感じられるような明るくてやさしい色合いのことです。
具体的には、黄色やオレンジなどのいわゆる「暖色」と呼ばれる色で、太陽や日差し、暖かい気候を連想させるような色です。
ただ単に明るいだけではなく、身体が暖まったときに感じる心地よさのような、やさしく柔らかい風合いであることが、この言葉で色を表現するときの特徴です。
小説などでの具体的な使い方は下記の通り。
使い方・例文
・白と青と黒ばかりで、黄金や赤や暖かい黄色はどれにも見られなかった。
(出典:クーパー『(闇の戦い1)光の六つのしるし』)
・十月の日が、眼に入る野と林を暖かい色に染めた中に、人は寝たり起きたりしている。
(出典:夏目漱石『永日小品』)
・描きにくいと思うんだが、よくあれだけ暖かく綾を出したな。
(出典:小川国夫『逸民』)