時化
「時化模様」などのように使う「時化」という言葉。
「時化」は、音読みで「しけ」と読みます。
「時化」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「 時化」の意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介しながら、わかりやすく解説していきます。
時化の意味
「時化」には次の三つの意味があります。
1 風雨のために海が荒れること。
2 海が荒れて不漁であること。
3 興行などで客の入りが悪いこと。また、商売が思わしくないこと。(出典:デジタル大辞泉)
それぞれの意味、使い方、類語については下記の通りです。
時化の意味①「風雨のために海が荒れること。」
「時化」の一つ目の意味は「風雨のために海が荒れること。」です。
気象情報の基準として波が4m以上の高さになると時化、6~9mの高さで大時化、9m以上になると猛烈な時化とされます。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・この男ときてはどんなにひどい時化のときでも歌ばかりうたっていた。
(出典:ドーデ/大久保和郎訳『風車小屋だより』)
・実際、本多家の船に乗って時化の怖おそしさを体験している三帆でもあった。
(出典:平岩弓枝『千姫様』)
・ちょうど時化のときの船のように心がぐらぐらと揺らぎ、まっすぐに立っていられないのです。
(出典:高殿円『銃姫 2 The Lead in My Heart』)
類語
・荒れ(あれ)
意味: 風・波・天候などが穏やかでなくなる。(出典:デジタル大辞泉)
・嵐(あらし)
意味:荒く吹く風。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・波浪(はろう)
意味: 風浪、うねり、およびそれらの変形である磯波(いそなみ)の総称。(出典:精選版 日本国語大辞典)
時化の意味②「海が荒れて不漁であること。」
「時化」の二つ目の意味は「海が荒れて不漁であること。」です。
海が荒れると漁獲量に影響が出るために、①の意味に、不漁であることという意味を加えて使われます。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・時化で損害を蒙ったから、というのがその理由だということだった。
(出典:島木健作『鰊漁場』)
・時化で損したからって、そりゃおれたちの知ったことじゃねえからな。
(出典:島木健作『鰊漁場』)
・入荷数が少ない理由を問うと、どうやら時化らしい。
類語
・凶作(きょうさく)
意味: 農作物のみのりが非常に悪いこと。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・不漁(ふりょう)
意味:漁の獲物が少ししか取れないこと。また、一般に収穫の少ないこと。また、そのさま。(出典:精選版 日本国語大辞典)
時化の意味③「興行などで客の入りが悪いこと。また、商売が思わしくないこと。」
「時化」の三つ目の意味は「興行などで客の入りが悪いこと。また、商売が思わしくないこと。」です。
「海が荒れて不漁になること」という意味から転じて、漁業に限らず様々な商売について不景気であることを意味します。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・だから、こんなシケたぼったくりバーでしのいでいる。
(出典:馳星周『不夜城II鎮魂歌』)
・街自体はごくありふれたベッドタウンで、駅前にできた大型スーパーマーケットのせいで商店街はシケていた。
(出典:山本文緒『プラナリア』)
・「でなきゃ、いい歳をして、こんなシケた店で仙人みたいな暮しは、してねえよな」 そうつづけてコーヒーを口に運んだ。
(出典:辻内智貴『セイジ』)
類語
・不景気(ふけいき)
意味:景気が悪いこと。商売が繁盛しないこと。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・不況(ふきょう)
意味:雇用量・生産量などの縮小、物価・賃金や利子率などが低い水準を続ける。(出典:デジタル大辞泉)
・不入り(ふいり)
意味:興行などの入場客が少ないこと。(出典:デジタル大辞泉)