慕情
「彼女に対して慕情を抱く」などのように使われる「慕情」という言葉。
小説などに使われてはいますが、なかなか見ることのない言葉ではないでしょうか?
日本語の奥ゆかしさを表現した素敵な言葉なので是非意味を理解してください。
この記事では「慕情」の意味や使い方について、小説などの用例を紹介しながら、わかりやすく解説していきます。
慕情の意味
「慕情」には次の意味があります。
・(異性を)したわしく思う気持ち。(大辞林 第三版)
したわしいとは心がひかれている状態のことです。
特に慕情は異性をという括りが付けられているので恋愛感情として相手に惹かれ、恋をしている様子のことを表しています。
具体的な使い方・例文は下記の通りです。
使い方・例文
・ K子嬢への慕情は、前年の秋いらい彼の心の中に根を降していた。
(出典:村松剛『三島由紀夫の世界』)
・ 今やそれが、心の痛みと慕情と共に、洪水のようにどっと戻って来た。
(出典:ジェイムズ・ブリッシュ『12 上陸休暇中止!』)
・幼い日の慕情のごとくほのかな甘味が、竹の葉の苦味にからんでいる。
(出典:南條竹則『酒仙』)
・自分の慕情を口にすら出してはいない。
(出典:三浦綾子『ひつじが丘)
・また以前の三冬ならば、小兵衛に抱いていた慕情ゆえに、かえって泊るようなことをしなかったろう。
(出典:池波正太郎『剣客商売 03 陽炎の男』)
・三月三日という日付は、彼のおよねへの慕情を物語って余りある。三月三日という日付は、彼のおよねへの慕情を物語って余りある。
(出典:半村良『およね平吉時穴道行』)