屹立
「高層ビルが屹立する」などのように使う「屹立」という言葉。
「屹立」は、音読みで「きつりつ」と読みます。
「屹立」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「屹立」の意味や使い方について、小説などの用例を紹介して、わかりやすく解説していきます。
屹立の意味
「屹立」には次の二つの意味があります。
1 山などが高く堂々とそびえ立つこと。また、そのさま。
2 人がじっと動かないで立っていること。(出典:精選版 日本国語大辞典)
それぞれの意味や使い方については下記の通りです。
屹立の意味①「山などが高く堂々とそびえ立つこと。また、そのさま。」
「屹立」の一つ目の意味は「山などが高く堂々とそびえ立つこと。また、そのさま。」です。
この意味は、山・高層ビル・崖などが高くそびえ立っていることを表します。
小説などでの具体的な使い方は下記の通り。
使い方・例文
・七千尋のところで、海底から屹立している幾つかの黒い山の頂が見えた。
(出典:ヴェルヌ/村上啓夫訳『海底二万リーグ(下)』)
・皆、二人の頭上を飛び越して、島の中央に屹立する大樹を目指していく。
(出典:九里史生『SAO-Web-外伝4 絶剣』)
・いくつもの透明な光に彩られた世界が、屹立する岩峰の向こうに見える。
(出典:篠田節子『カノン』)
・なんの前触れもなく、突然に目の前に氷の壁や柱が屹立している。
(出典:流星香『プラパ・ゼータ 4 玻璃色の迷宮』)
・南西にはタルン山が二二五〇メートルの高さに屹立していた。
(出典:ヴェルヌ/大久保和郎訳『グラント船長の子供たち(上) 地の果ての燈台』)
屹立の意味②「人がじっと動かないで立っていること。」
「屹立」の二つ目の意味は「人がじっと動かないで立っていること。」です。
この意味では人に対して使います。「老人が屹立している」であれば、「老人が動かず立っている」という意味になります。
小説などでの具体的な使い方は下記の通り。
使い方・例文
・かれらはエースとしてマウンドに一人屹立して、そして消えていくのだ。
(出典:山際淳司『男たちのゲームセット』)
・腕組みをして彫像のように屹立していたディーノが、はっと顔を上げた。
(出典:流星香『プラパ・ゼータ 1 聖女の招喚』)
・そこには人間大の最悪なるものが屹立していたからである。
(出典:阿智太郎『僕の血を吸わないで2』)
・いわばこの屹立の姿勢こそが、私にとって〈詩〉ということであったのだ。
(出典:石原吉郎『望郷と海』)
・どういう刺激か、その中の二人がしだいに屹立しはじめた。
(出典:山田風太郎『忍法笑い陰陽師』)