嫉妬
「相手に嫉妬する」のように使う「嫉妬」という言葉。
「しっと」と読みます。
日常的に耳にする機会も多く、なんとなく意味を理解している人がほとんどだと思います。
しかし、正確な意味を説明することはできないという方も多いかもしれません。
この記事では「嫉妬」の意味や使い方について、小説などの用例を紹介しながら、わかりやすく解説していきます。
嫉妬の意味
嫉妬(しっと)には次の二つの意味があります。
1自分よりすぐれている人をうらやみねたむこと。
2自分の愛する者の愛情が、他の人に向けられるのを恨み憎むこと。やきもち。
(出典:デジタル大辞泉)
それぞれの意味と使い方については下記の通りです。
嫉妬の意味①「自分よりすぐれている人をうらやみねたむこと。」
嫉妬の一つ目の意味は「自分よりすぐれている人をうらやみねたむこと。」です。
「相手に嫉妬する」だと相手に対し、自分より優れていると感じており、うらんだりねたんだりしているという意味になります。
この使い方では嫉妬する相手のことをうらやましがっているという特徴があります。
ただ、うらやましいとの違いとして、嫉妬している状態ではネガティブな意味を持っていることになります。
嫉妬だと相手を自分と同じ立場まで引きずり下ろしたい気持ちが強く、うらやむだと相手のところまで自分を高めたいと言った違いがあるのです。
使い方・例文
・他人の幸福を嫉妬する者は、幸福を成功と同じに見てゐる場合が多い。
(出典:三木清『人生論ノート』)
・僕が嫉妬をしているのなら他に取るべき方法はいくらもあるのです。
(出典:豊島与志雄『掠奪せられたる男』)
・ 何も知らぬ世間は彼の盛名に対する僕の嫉妬だとしか考えぬであろう。
(出典:浜尾四郎『黄昏の告白』)
・比較を絶する大きな存在に向っては、嫉妬の施しようがないではないか。
(出典:中里介山『大菩薩峠』)
・だが肝心の白坂のほうでは、一度でも嫉妬めいたそぶりを見せたことがない。
(出典:中井英夫『とらんぷ譚』)
・子供を持つ同僚に嫉妬する子供のいないサラリーマンなど、まずいない。
(出典:柴門ふみ『恋愛の法則36』)
嫉妬の意味②「自分の愛する者の愛情が、他の人に向けられるのを恨み憎むこと。やきもち。」
嫉妬の二つ目の意味は「自分の愛する者の愛情が、他の人に向けられるのを恨み憎むこと。やきもち。」です。
こちらの使い方は主に恋愛絡みの場合に使われます。
例えば「浮気相手に嫉妬する」などのように使いますが、この場合だと「愛する恋人を取ってしまった浮気相手に対して憎しみを感じている」という意味になります。
こちらも一つ目の意味と同じようにネガティブな意味が強く含まれているため覚えておきましょう。
使い方・例文
・大村看護婦の夫が異常に嫉妬深い性格だという可能性も考えられる。
(出典:村上春樹『1Q84 BOOK3』)
・嫉妬なぞしないように見せて、その実、細かく観察しているようである。
(出典:渡辺淳一『メトレス 愛人』)
・一瞬私は嫉妬にかられて蒼白になったが、それもつかの間のことだった。
(出典:バローズ『地底世界ペルシダー』)
・すると僕は人より二倍も三倍も嫉妬深い訳になるが、あるいはそうかも知れない。
(出典:夏目漱石『彼岸過迄』)
・それが袈裟の夫だと云う事を知った時、己が一時嫉妬を感じたのは事実だった。
(出典:芥川竜之介『袈裟と盛遠』)
・それともうひとつは、やはり嫉妬もあったんじゃないでしょうか。
(出典:横溝正史『金田一耕助ファイル09 女王蜂』)