好尚
「時代の好尚」などのように使う「好尚」という言葉。
「好尚」は、音読みで「こうしょう」と読みます。
「好尚」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「好尚」の意味や使い方について、小説などの用例を紹介して、わかりやすく解説していきます。
好尚の意味
「好尚」には次の意味があります。
・このみ。嗜好。また、はやり。流行。(出典:デジタル大辞泉)
「尚」という字には、「このむ、したう」という意味合いと、「とうとぶ」という意味合いがあります。
同じ読み方で「高尚」という言葉がありますが、「好尚」は前者、「高尚」は後者の意味合いで「尚」という字が用いられています。
小説などでの具体的な使い方・例文は下記の通り。
使い方・例文
・ここも今代の工芸美術の標本でありまた一般の趣味好尚の代表である。
(出典:寺田寅彦『丸善と三越』)
・芭蕉もあらゆる天才のやうに時代の好尚を反映してゐることは上に挙げた通りである。
(出典:芥川竜之介『芭蕉雑記』)
・盆栽趣味も近来ますます勃興の機運、その好尚も時によって変って行く。
(出典:山本笑月『明治世相百話』)
・この両漫画は画工の性格並に画風の相違を示すと共にまた時代の好尚の著しく変化せるを語るものなり。
(出典:永井荷風『江戸芸術論』)
・男の好尚は半ば伝説的である。
(出典:夏目漱石『野分』)
・しかし、それぞれ評価のすべてを貫いて流れるものは美への好尚であり、押しなべて山想う心である。
(出典:松濤明『山想う心』)
・見る見る、そうした新しい好尚のおもしろさが、家持の心を奪うてしまった。
(出典:折口信夫『死者の書』)
・石燈籠が大抵笠の方が缺けてゐて一本として無瑕なものがなかつたが、みんな時代といひ好尚といひ立派なものが多かつた。
(出典:室生犀星『京洛日記』)