夜半
「夜半に雨が降っていた」などのように使う「夜半」という言葉。
「夜半」は、音読みで「やはん」と読みます。
「夜半」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「夜半」の意味や使い方について、小説などの用例を紹介して、わかりやすく解説していきます。
夜半の意味
「夜半」には次の意味があります。
・よる。よなか。やはん。(出典:デジタル大辞泉)
上記で「夜半」は音読みで「やはん」と読むと伝えましたが、古文や小説等でしばしば訓読みで「よわ」、または「よなか」と読ませる作品があります。
百人一首68番「心にもあらでうき世にながらへば恋しかるべき夜半の月かな」はその一例です。
小説などでの具体的な使い方・例文は下記の通り。
使い方・例文
・見ると、いつも夜半はついていない筈の主人の居間に、灯がさしていた。
(出典:吉川英治『新書太閤記』)
・なるべく若鶏で肉の柔いのを殺してから一昼夜半過ぎたのがいいのです。
(出典:村井弦斎『食道楽』)
・炉で火のはぜる音のほか、夜半の山は死のような沈黙に包まれていた。
(出典:山本周五郎『風流太平記』)
・町の教会の大時計は、一日に二度だけ、正午と夜半に時を打つのだった。
(出典:チェーホフ/小笠原豊樹訳『チェーホフ短編集「決闘」』)
・この夜半の世界から犬の遠吠を引き去ると動いているものは一つもない。
(出典:夏目漱石『琴のそら音』)
・人口五万の町であるが、夜半の今の時刻は、息を引きとったように静かである。
(出典:井上靖『私の西域紀行(下)』)
・病人は静かな男であったが、折々夜半に看護婦を小さい声で起していた。
(出典:夏目漱石『変な音』)
・移つてから二月ほど経つた或夜の事、私の母が夜半に起きて便所に行く。
(出典:岡本綺堂『雨夜の怪談』)