人身御供
「人身御供にされる」などのように使う「人身御供」という言葉。
「人身御供」は、「ひとみごくう」と読みます。
「人身御供」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「人身御供」の意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介しながら、わかりやすく解説していきます。
人身御供の意味
には次の二つの意味があります。
1 人間を神への生け贄にえとすること。また、その人間。人身供犠(じんしんくぎ)。
2 集団または特定の個人の利益のために、ある個人を犠牲にすること。また、その個人。(出典:デジタル大辞泉)
それぞれの意味、使い方、類語については下記の通りです。
人身御供の意味①「人間を神への生け贄にえとすること。また、その人間。」
の一つ目の意味は「人間を神への生け贄にえとすること。また、その人間。」です。
自然災害などが神の怒りによるものと考えられていた時代には、実際に人を生贄にして神の怒りを鎮める、ということが行われてました。
小説などでの具体的な使い方や類語は下記の通り。
使い方・例文
・人身御供と人柱と、それは人を殺して神に仕えしめる意味のものである。
(出典:喜田貞吉『人身御供と人柱』)
・アステカ族にとって、人身御供はなくてはならない大切な儀式だった。
(出典:桐生操『美しき殺人法100』)
・これじゃ、悪魔に人身御供を差し出す中世の暗黒世界そのものじゃねえか。
(出典:菊地秀行『トレジャー・ハンター1 エイリアン秘宝街』)
・毎年、多くの人身御供を要求し、片脚が蛇の形をした妖神テスカトリポカ。
(出典:田中芳樹『薬師寺涼子の怪奇事件簿4 クレオパトラの葬送』)
類語
・人身供儀(じんしんくぎ)
意味:人をいけにえに捧げること。(出典:デジタル大辞泉)
・生身供(いきみぐ)
意味:いけにえとして人身を神に供えること。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・供物(くもつ)
意味:神仏に供える物。(出典:デジタル大辞泉)
・神供(じんく)
意味:神への供え物。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・奉納(ほうのう)
意味:つつしんで神仏にさしあげること。(出典:精選版 日本国語大辞典)
人身御供の意味②「集団または特定の個人の利益のために、ある個人を犠牲にすること。また、その個人。」
「人身御供」の二つ目の意味は「集団または特定の個人の利益のために、ある個人を犠牲にすること。また、その個人。」です。
「神に捧げる生贄」という意味から転じて、神に限らず「集団や個人のための生贄」という意味で使います。
小説などでの具体的な使い方や類語は下記の通り。
使い方・例文
・自分の取引きのために、他人を人身御供にするようなものではないか?
(出典:佐左木俊郎『猟奇の街』)
・組を救うためには加島組に人身御供を差し出さなければならない。
(出典:森村誠一『凶通項』)
・暴力団の存続のための人身御供というのでは、死んでも死にきれない。
(出典:森村誠一『凶通項』)
・海賊にひき渡す人身御供のさきが、姿をかくしたのに、気がついたのである。
(出典:柴田錬三郎『決闘者 宮本武蔵(上)』)
類語
・スケープゴート
意味:責任を転嫁するための身代わり。不満や憎悪を他にそらすための身代わり。(出典:デジタル大辞泉)
・替玉(かえだま)
意味:本人だと偽って別人を使うこと。また、その人。(出典:デジタル大辞泉)
・身代り(みがわり)
意味:他人のかわりになること。また、その人。(出典:デジタル大辞泉)
・形代(かたしろ)
意味:身代わり。(出典:デジタル大辞泉)