不埒
「不埒な奴だ」などという表現、耳にしたことがあるのではないでしょうか。
「不埒」と書いて「ふらち」と読みます。
「埒」は「埒があかない」などという表現もよく使われていますね。
この記事では「不埒」の意味や使い方について、小説などの用例を紹介しながら、わかりやすく解説していきます。
不埒の意味
不埒(ふらち)には次の二つの意味があります。
1 道理にはずれていて、けしからぬこと。また、そのさま。ふとどき。
2 要領を得ないこと。埒のあかないこと。また、そのさま。
(出典:精選版 日本国語大辞典)
それぞれの意味と使い方については下記の通りです。
不埒の意味① 「道理にはずれていて、けしからぬこと。また、そのさま。ふとどき」
不埒の一つ目の意味は「道理にはずれていて、けしからぬこと。また、そのさま。ふとどき」です。
「埒」とは仕切りのための柵のこと。仕切りのための柵は、「行ってよい場所」「行ってはいけない場所」の境目を決める一種のルールともいえます。
その「埒」を否定することから、けしからぬ・不届きという意味となります。
使い方・文例
・それも初めに彼らのほうで不埒なことを企らんでいたせいではあったが。
(出典:ホメロス/呉茂一訳『オデュッセイア(下)』)
・無い事を種に下宿を出ろと云われた時は、いよいよ不埒な奴だと思った。 ところが会議の席では案に相違して滔々と生徒厳罰論を述べたから、おや変だなと首を捩った。
(出典:夏目漱石『坊っちゃん』)
・貴様も彼にたぶらかされて、なにか不埒を働いているのに相違あるまい。
(出典:岡本綺堂『半七捕物帳』)
不埒の意味② 「要領を得ないこと。埒のあかないこと。また、そのさま」
不埒の二つ目の意味は「要領を得ないこと。埒のあかないこと。また、そのさま」です。
「埒があかない」という言葉がありますが、元々は「埒があく」と言って、物事のかたがつくとような意味で用いられていました。
それを「あかない」と否定して「不埒」。
物事がスムーズに進まない、決着がつかないというような意味になります。
使い方・文例
・後はふたりながら涙をこぼし不埒なりしに
(出典:井原西鶴『浮世草子・好色五人女』)