一張羅
「一張羅の晴れ着」などのように使う「一張羅」という言葉。
「一張羅」は、音読みで「いっちょうら」と読みます。
「一張羅」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「一張羅」の意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介しながら、わかりやすく解説していきます。
一張羅の意味
「一張羅」には次の二つの意味があります。
1 その人が持っている衣服のなかで、最もよいもの。
2 ほかには持たず、たった1着きりの衣服。(出典:デジタル大辞泉)
それぞれの意味、使い方、類語については下記の通りです。
一張羅の意味①「その人が持っている衣服のなかで、最もよいもの。」
「一張羅」の一つ目の意味は「その人が持っている衣服のなかで、最もよいもの。」です。
特別な日に着る服など、持っている中で最も上等な衣服を意味します。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・全員が、クローゼットの中から選び抜いた一張羅といった感じの服を着て、目いっぱい気取っている。
(出典:小池真理子『猫を抱いて長電話』)
・普段とは違う、一張羅を、取っておきの服や靴を、ちょっと粋に組みあわせて。
(出典:鷲田清一『てつがくを着て、まちを歩こう ―ファッション考現学』)
・一張羅の晴着に空模様ばかり気にしては花見の興も薄かるべし。
(出典:永井荷風『桑中喜語』)
・娘達はもう朝のうちから一張羅を着飾って聖像を迎えに出かけ、夕方近く、十字行列と讃美歌とでそれを運んで来た。
(出典:チェーホフ/中村白葉訳『チェーホフ短編集「燈火」』)
類語
・装束(しょうぞく)
意味:装うこと。(出典:デジタル大辞泉)
・借り着(かりぎ)
意味:他人から衣服を借りて着ること。(出典:デジタル大辞泉)
・街着(まちぎ)
意味:外出のときに着る衣服。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・花衣(はなごろも)
意味:はなやかな衣。(出典:精選版 日本国語大辞典)
一張羅の意味②「ほかには持たず、たった1着きりの衣服。」
「一張羅」の二つ目の意味は「ほかには持たず、たった1着きりの衣服。」です。
1着しか持っていない服、を意味します。
小説などでの具体的な使い方・例文や類語は下記の通り。
使い方・例文
・それから正朔に、からくもとってあった一張羅を着せるのがまた一騒ぎであった。
(出典:山田風太郎『明治波濤歌(上) 山田風太郎明治小説全集 9』)
・これぞこの人の夏冬なしの平常着にて、しかもまた一張羅なれば。
(出典:清水紫琴『葛のうら葉』)
・あの垢じみた一張羅をどこかで脱ぎ、そして、わずかに買ってきたおみやげにちがいない
(出典:吉川英治『大岡越前』)
類語
・着衣(ちゃくい)
意味:着ている衣服。(出典:精選版 日本国語大辞典)
・身の皮(みのかわ)
意味:身につける衣服。(出典:デジタル大辞泉)
・被服(ひふく)
意味:着るもの。(出典:デジタル大辞泉)
・風体(ふうてい)
意味: 身なり。(出典:精選版 日本国語大辞典)