のっぺり
「のっぺりとした丘」などのように使う「のっぺり」という言葉。
「のっぺり」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「のっぺり」の意味や使い方について、小説などの用例を紹介して、わかりやすく解説していきます。
のっぺりの意味
「のっぺり」には次の二つの意味があります。
1 平らで変化のないさま。
2 顔が整ってはいるが、平板で締まりがないさま。(出典:デジタル大辞泉)
それぞれの意味や使い方については下記の通りです。
のっぺりの意味①「平らで変化のないさま。」
「のっぺり」の一つ目の意味は「平らで変化のないさま。」です。
言い換えると、凹凸がまったくなく、まっ平らである、という意味です。
変化の乏しさも意味しており、あまり良い意味では用いられません。
小説などでの具体的な使い方は下記の通り。
使い方・例文
・彼女を現実から隔てているようなそのドアは、ただのっぺりと白いだけ。
(出典:宮部みゆき『レベル7』)
・石畳でもないのに、あんなにのっぺりとした石は見たことがありません。
(出典:恩田陸『ライオンハート』)
・間接照明の白い明りが、部屋を影のないのっぺりとしたものに見せている。
(出典:山田正紀『神狩り』)
・工場の屋根はのっぺりとした樹脂製で、窓とか扉のたぐいはひとつもない。
(出典:高千穂遙『ダーティペアシリーズ3 ダーティペアの大乱戦』)
・それはのっぺりとした銀幕にしか見えず、なんの構造も見つけられなかった。
(出典:野尻抱介『太陽の簒奪者 (ハヤカワ文庫)』)
のっぺりの意味②「顔が整ってはいるが、平板で締まりがないさま。」
「のっぺり」の二つ目の意味は「顔が整ってはいるが、平板で締まりがないさま。」です。
①の意味と似ていますが、この場合は、人の顔について言及する場合の意味です。
目鼻立ちは整っていても、あまり凹凸がなくつるんとした顔だちで、また、いわゆるキリっとした感じがせず、表情の変化にも乏しい様子を表しています。
①と同様、こちらもあまりあまり良い意味ではなく、褒め言葉としては用いられません。
小説などでの具体的な使い方は下記の通り。
使い方・例文
・のっぺりとした特徴の無い顔で、肌はむき卵のようにつるりとしている。
(出典:曽根圭介『鼻』)
・それからあののっぺりしたほうの小僧、あいつは将軍の息子なんだぜ。
(出典:ドストエフスキー/工藤精一郎訳『未成年(下)』)
・鼻は消えてなくなり、のっぺりとした顔に開いたただ二つの孔あなになっていた。
(出典:五代ゆう『晴明鬼伝』)
・主任の顔は口髭を落して以来いつみても卵子のようにのっぺりしていた。
(出典:織田作之助『わが町』)
・妙にのっぺりとしたそのたくましい顔に、黒い疲労がこびりついていた。
(出典:菊地秀行『吸血鬼ハンター4 D-死街譚』)