そっくり
「そっくりそのまま」などのように使う「そっくり」という言葉。
「そっくり」は物の形容として用います。
「そっくり」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「そっくり」の意味や使い方について、小説などの用例を紹介して、わかりやすく解説していきます。
そっくりの意味
「そっくり」には次の二つの意味があります。
1非常によく似ているさま。
2欠けることのないさま。そのまま。(出典:デジタル大辞泉)
それぞれの意味や使い方については下記の通りです。
そっくりの意味①「非常によく似ているさま。」
「そっくり」の一つ目の意味は「非常によく似ているさま。」です。
本物と偽物を比べたり、親族が似た容姿になっていたりと、一瞬見たあたりでは同じ物に見えるほどに(もしかしたらだまされてしまうほどに)似ていることを言います。
小説などでの具体的な使い方は下記の通り。
使い方・例文
・あれとそっくりだと笑ったのだが、しかし望月はそんな事情は知らない。望月はちょっと気を悪くしかけた。
(出典:織田作之助『それでも私は行く』)
・街は左手に見えていましたが、それはちょうど、芝居の町そっくりでした。
(出典:原民喜『ガリバー旅行記』)
・その男は前の晩私が会った奴とそっくりでして、顔形も声も同じなんです。
(出典:三上於菟吉『株式仲買店々員』)
・それは母の朝子には似ないが、父の重行にそっくりだといわれていた。
(出典:甲賀三郎『黄鳥の嘆き』)
・その子が又そっくり同じ様子をして私の傍に寝ているのだ。
(出典:金史良『光の中に』)
そっくりの意味②「欠けることのないさま。そのまま。」
「そっくり」の二つ目の意味は「欠けることのないさま。そのまま。」です。
見た目全体がよく似ていることから転じて、見えている物全部、といった意味合いとなります。
小説などでの具体的な使い方は下記の通り。
使い方・例文
・無断で出てゆくにしても、持物をそっくり残してゆくはずがありません。
(出典:A・C・ドイル『新潮文庫 シャーロックホームズ全集 マスグレーヴ家の儀式』)
・もし当てることができれば、この研究所をそっくり君にあげてもいいよ。
(出典:海野十三『宇宙女囚第一号』)
・それはアメリカの紙幣で千二百ドルがそっくりそこに残っていたことである。
(出典:海野十三『少年探偵長』)
・妹に対する今までの感情はそのままそっくり憎悪の念に変ってしまいました。
(出典:小酒井不木『呪われの家』)
・酒場が必要とするとおりそっくりそのままの性質をそなえた女の子ですわ。
(出典:原田義人『城』)