グラビア
「グラビアを飾る」などのように使う「グラビア」という言葉。
「グラビア」は、英語で「gravure」と表記します。
「グラビア」とは、どのような意味の言葉でしょうか?
この記事では「グラビア」の意味や使い方や類語について、小説などの用例を紹介して、わかりやすく解説していきます。
グラビアの意味
「グラビア」には次の二つの意味があります。
1 写真製版法による凹版印刷。
2 1で印刷された写真などのページ。(出典:デジタル大辞泉)
それぞれの意味、使い方、類語については下記の通りです。
グラビアの意味①「写真製版法による凹版印刷。」
「グラビア」の一つ目の意味は「写真製版法による凹版印刷。」です。
写真や図版の印刷に用いられる印刷方法のことで、原画の色の濃淡に応じた深さの微細な凹点からなる版面を利用するのが特徴です。
その凹点によりインキ層の厚薄を生じさせて、画像の濃淡を表現します。
この印刷方法のことを言及したい場合、単独で「グラビア」とは言われることは少なく、実際には「グラビア印刷」「グラビア版」といった言葉で用いられる場合が多いです。
小説などでの具体的な使い方や類語は下記の通り。
使い方・例文
・グラビア印刷のペラペラ紙をめくってもめくっても、そこにあるのはアメリカとアメリカ人の写真ばかりじゃないか、とかれはいう。
(出典:津野海太郎『小さなメディアの必要』)
・どこの自治体でも、大抵は写真をふんだんに入れた豪華グラビア印刷がふつうだが、ここのは彼女が言ったとおり、コピー用紙に複写機で印刷したような、簡単なものだ。
(出典:内田康夫『贄門島(にえもんじま)下』)
・しかも、新聞用紙では印刷効果にも制限があり、グラビア印刷のグラフにくらべれば、かなりのハンディを背負うことになる。
(出典:小堺昭三『カメラマンたちの昭和史』)
・仕事らしい仕事もしていなかったのに、さも忙しそうな顔で、机の上にイタリアの大百科辞典を一冊ずつ運んで来ては、その中のグラビア版のルネサンス名画を開いて見ていた。
(出典:福永武彦『草の花』)
類語
・写真凹版(しゃしんおうはん)
意味:=グラビア(出典:精選版 日本国語大辞典)
・凹版(おうはん)
意味:画線部分が版材面よりくぼんでいる印刷版。(出典:デジタル大辞泉)
・凹版印刷(おうはんいんさつ)
意味:印刷に使う版面の画線部が版の表面よりも低くなっており、この部分に印刷インキを詰めて印刷する方法。彫刻凹版とグラビア印刷がある。(出典:日本大百科全書(ニッポニカ))
・グラビア印刷(ぐらびあいんさつ)
意味:凹版印刷に属する印刷。版は規則正しく配列している細かい凹点からなり、これにインキを入れて印刷する方法。同一版面の凹点の大きさは同じであるが、深さが原稿の色の濃さにより異なり、深い凹点ほどインキが多く入るので印刷物は濃色となる。(出典:日本大百科全書(ニッポニカ))
グラビアの意味②「1で印刷された写真などのページ。」
「グラビア」の二つ目の意味は「1で印刷された写真などのページ。」です。
つまりは、グラビアという印刷方法で印刷されたカラー写真からなるページのことで、「グラビアページ」ともいいます。
雑誌などの写真ページのことをこう呼ぶことが一般化しており、写真や印刷を専門とする人以外には、多くの場合はこちらの意味で用いられます。
小説などでの具体的な使い方や類語は下記の通り。
使い方・例文
・俺は週刊誌のグラビアに写っていた白い人影のようなものを思い出した。
(出典:山本弘『審判の日』)
・先方はここ三回のうちの舞台は観にきてるし、あなたのグラビアも見てる。
(出典:石田衣良『下北サンデーズ』)
・瑞枝は実際に行ったことがないが、雑誌のグラビアなどで見て知っている。
(出典:林真理子『ロストワールド』)
・だとするとたぶん、新聞か雑誌のグラビアで目にしたことがあるのだろう。
(出典:浅田次郎『姫椿』)
類語
・グラビア雑誌(ぐらびあざっし)
意味:写真を主とした週刊誌の類。グラビアページの多い雑誌。(出典:デジタル大辞泉)
・グラビアアイドル
意味:雑誌のグラビアページや写真集、ポスターなどのモデルとしての活動で人気が出た女性タレント。(出典:デジタル大辞泉)
・グラドル
意味:「グラビアアイドル」の略。(出典:デジタル大辞泉)
・グラビア用紙(ぐらびあようし)
意味:雑誌などのグラビア印刷に使う中品質の非塗工印刷用紙。(出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典)